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3話 かの男、この男 | 別れさせ屋の老舗アクアグローバルサポート

3話 かの男、この男

2023-03-10

「調査はもう終わってる」と社長が言った。
ということは、あれからもう1ヶ月経っているわけだが、そのあいだの私の生活は怠惰のひとことに尽きるので割愛するとして、私は社長のくれた資料に目を通す。

<桜色仙台城>
30歳。営業職。
茨城県の大学を卒業後、某メーカー茨城営業所勤務。3年前、仙台支社転勤。
2年前から依頼者と付き合い始める。
平日は朝9時に出社、午前、午後と至って真面目に営業をし、成績はそこそこ。
たいてい午後6時か7時に帰社し、9時か10時には退社。早くても8時。
目ぼしい友人などはおらず、会社と自宅の往復。
通勤には自家用車を使い、たまにレンタルビデオ店に寄る程度。
休日は社会人専用のテニス教室に通うか、依頼者と会う。
基本的にはノーと言えない性格で、頼まれたことは受ける。
ことなかれ主義で、感情は顔に出やすい。
しかし、せっかちな面もあり、待つのは苦手。
メールや電話の頻度から見て、依頼者以外に交際している女性がいる可能性が高い。
また、依頼者よりもその女性と連絡をとりあう頻度が高いことから、そちらが本命の可能性が高い。

「あれ、これって、室田さんが……」
「そうだな、むしろ、室田さんが二股目だな」
私は<桜色仙台城>氏の写真を見る。
「あんまり、イケメンではないですね」
「まあ、それはどうだっていい。当人同士の価値は当人同士が決める」ぴしゃり、と社長は言い切った。
正しいが、まあ、なんというか、二股をかけるにはかけるなりのスペックというかなんというか、まあ、これは私のような万年彼女募集中の人間に言われるのは<桜色仙台城>氏も心外であろう。
いや、しかし、私だって好き好んで万年彼女募集をかけているわけではない。彼女募集の広告費をあまりかけられない貧乏元ニートであることがまずもってまずいのであるが、そもそも私の話は本件とはなんら関係ない。誰だ、この話を始めたヤツは。責任者を呼べ、責任者を。
「じゃあ、行くか」と持田さんが言った。
あ、はい、と私は答える。「あ、でも、着替えとかないっすよ」
「だいじょうぶだ、今日は日帰り。ファーストコンタクトってやつだよ。今日は<桜色仙台城>のよくいくビデオ屋が半額デーだから、まず寄るはずだ。そこでコンタクトする」
しかし、レンタルビデオ店の半額デーまでチェックされるとは、自分が工作を仕掛けられるのは御免こうむりたいものである、と思いながら、私はうららかな陽射しの中、飯田橋駅前探偵事務所を持田さんとともに発った。

4話 仙台でのこと1

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MORITA

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