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4話 仙台でのこと1 | 別れさせ屋の老舗アクアグローバルサポート

4話 仙台でのこと1

2023-03-10

仙台へ行くために上野から新幹線に乗る。埼玉生まれの埼玉育ち、生粋の埼玉っ子である私は基本的には南下することだけを目標に生きてきたので、北上するのはおそらく中学校の研修旅行で日光に行って以来だ。
どかっと持田さんが座って、ノートパソコンを開く。
「おまえ、プランもう1回見とけよ」
私はプランの概要にもういちど目を通す。
室田さんは転職して7年目の営業事務職。対象の<桜色仙台城>氏は9コ下の営業マンだ。
ただ、仙台支社の社歴は室田さん7年に対して、<桜色仙台城>氏は3年目である。
持田さん曰く、「まあ、お母さん的な感じなんじゃないかね。<桜色仙台城>相当マザコン臭いぞ」
まあ、マザコン臭いかどうかは私の判断をすることでもないので放っておくとして、そのなんだかなよなよした<桜色仙台城>氏に仕掛ける工作はなかなかにドラマティックである。これでなにかどこかを哲学っぽくすれば、野島伸司もびっくりの90年代ドラマの完成だ。いや、あるいは北川悦吏子が裸足で頬を染めるくらいベタかもしれない。
「これ、ほんとにうまく行くんですかね」
「たぶん、だいじょうぶだ。そのための事前調査だし、工作員だからな」
「工作員の方って、もう向こうにいるんですか?」
「仙台ではおれたちとは会わないよ。おれらはただ見るだけ。あっちでは接触していいことなんてひとつもないからな」
「慣れてるひとなんですか?」
「男性工作員は2回目とかだったかな。まあ、一瞬しかプランには出てこないし、だいじょうぶだろ。実際に<桜色仙台城>に工作するのはエース級だから、心配してない」

女性工作員、岬京子と表示されている。写真もあって、なかなか綺麗な女性である。
「室田さんと、<桜色仙台城>氏って肉体関係あるんですよね?」
「ある」
「岬さんはそういうとき、どうするんですかね?」
「岬京子はたしかソレ系NGだ。ただ、今回は必要ないだろうと判断している」
「<桜色仙台城>氏がオクテであると?」
「というよりも、そこまで必要ないと思うんだよな。本命の存在を聞き出すだけでいいんだから。それで宣言させちゃえば、あとは鉢合わせなり、直接連絡とるなりして、本命と<桜色仙台城>を別れさせれば、この依頼は成功」
そんなものか、と思いながら、私はうなづいた。そもそもそんなにうまくいくわけがない、と断定できるほどに私に経験があるわけではないし、実際、これを私が仕掛けられたらハマってしまう、と思わなくもないのでとりあえずはことのなりゆきを見るのが正しい。
それがたぶん社長や持田さんの狙いである。この程度で引っかかる、この程度では引っかからない、そんなラインを引いていけばいいのだ。
そして、今日がその1本めのラインになるわけである。

5話 仙台でのこと2

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MORITA

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